硝子の塔の殺人 / 知念実希人

読了しまして。
本の帯で島田荘司、綾辻行人が大絶賛。

島田荘司は、現在も活躍してるミステリ作家の中ではイチバン好きですけど。
本格ミステリの新人発掘、発展に熱心で。
過大評価で作品を推薦する事も多いので、島田荘司推薦は、あまりアテにならない事が多いですが笑
この知念実希人も。島田荘司主催のミステリ新人賞でデビューしてまして。

ただ、この硝子の塔の殺人は面白かったですね。
ガラスの円錐型の奇妙な建物が舞台で。
交通手段が絶たれて、警察捜査が介入できないクローズドサークル。
密室、ダイイングメッセージ、暗号と。
本格ミステリ要素がてんこ盛りで。

珍しいのが。
プロローグは、犯人の独白から始まって。
最初に読者に犯人をバラしてしまうハウダニットモノで。

クローズドサークルで、ハウダニットってのは珍しいですね。
クローズドサークルって最後に意外な犯人が明かされるのが面白い作品が殆どなので。
最初から犯人判ってて、クローズドサークルもなぁと思って読み進めて行くと。
その後の展開は非常に面白くて。これ以上書くとネタバレだしな。

文章が凄くテンポあって読みやすいですね。
本格ミステリってトリックは凄いけど、読みにくい作品多いし。
登場人物の書き分けもよく出来てるし。
ミステリマニアな名探偵が面白かったですね。
アリバイとか訪ねてる途中でも、ミステリの薀蓄を披露して脱線して。
ミステリの薀蓄も、古典ミステリから最近の作品まで幅広く。
ちょっと綾辻行人を絶賛しすぎな感あるけど笑

あと奇妙な建物が舞台なんで。
当然、その建物がトリックの一部として使われなきゃ面白く無いし。
逆にその分、読者に早々にトリックがバレてしまう場合も多いんだけど。
その辺も上手かったですね。
面白かったのが作中の登場人物に
「この建物、建築基準法・消防法に違反してるだろ」
って言わせてるトコですね。
確かにミステリに出てくる奇妙な建物ってほぼ違反してるだろうし笑
小説なので、これくらいはリアリティ無くても問題無いかと。

面白かったので、今年のミステリのグランプリ、このミスとか。
１０位以内に入ってもおかしくない作品だと思います。